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1-1.外国人の雇用と均等待遇の原則

外国人を雇用する際に注意することはありますか?

外国人を労働者として使用する際には、その者の国籍を理由として、労働条件について差別することは、労働基準法第3条に違反します。

また就労可能な在留資格を有していなかったり、認められる就労範囲を超えるような違法就労をしていると知りながら使用した使用者は処罰の対象となり、外国人本人は本国へ強制退去となります。

それに加え不法就労である外人であっても労働基準法上では立派な労働者であり同法により保護されていますので、労働条件について差別的扱いをすれば、使用者は同法第3条違反となり処罰の対象となりますのでご注意下さい。

労働基準法第3条
均等待遇 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的扱いをしてはならない。

<信条> : 特定の宗教的、政治的信念
<社会的身分> : 生来の身分

使用者は労働者の雇入れの自由を有するので、その者の国籍、信条、社会的身分を理由として採用を拒否することは許されます。

外国人だから雇用保険、社会保険に未加入にしてもいいか・・・
外国人には有給休暇を与えなくていいか・・・等
は当然、同法3条違反となり、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。

1-2.男女の賃金差別

うちの会社では女性は日給制、男性は月給制をとっています。問題はありますか?

職務、能率、技能などが同一である場合において、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、男性が労働日数のいかんにかかわらず月の賃金が一定額であるのに対し、女性の賃金が労働日数によって異なることは、労働基準法第4条男女同一賃金の原則に触れることになります。

もう一つ事例をあげますと、支給条件が就業規則であらかじめ明確にされた退職手当について、当該就業規則において労働者が結婚のため退職する場合に女性には男性に比べ1/2の退職手当を支給するときは、その定めは同法4条に反し無効になります。

労働基準法第4条
男女同一賃金の原則 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的扱いをしてはならない。

ポイント1
差別的扱いとは、女性であることを理由として、賃金について有利な扱いをする場合も含みます。
ポイント2
採用、配置、昇進、教育訓練などの差別に由来する賃金の違いは本条違反ではないが、男女雇用機会均等法においては違反となる可能性がありますので、女性であることを理由として労働条件において差別的扱いをしないことに注意しましょう。

1-3.従業員兼役員と労働法

取締役、部長職の一定のポストを兼任するような従業員は労働者となるか?ならないのか?

労働者とは、労働基準法の適用される事業に使用され賃金を支払われる者をいいます。

事業主と労働者との間は・・
①労働者が使用者の指揮命令に従い労務を提供すること。
②使用者がこれに対する賃金を支払うことを内容とした労働契約(雇用契約)により結ばれている関係です。

これに対し、取締役と会社の関係は、委任契約により結ばれている関係であり、前述の雇用関係とは異なる契約になります。 いわゆる使用従属関係が存在するかどうかを判断基準として、業務執行権を有するものや代表権を有するものは会社との間において使用従属関係がないとし労働者とはならず、一方、重役といっても代表権の無いものについては、現実にその者が担当している職務において労働者としての要件を満たしていれば、労働者として保護を受けるとされています。 よって判断基準によって個別に労働者にあたるのか、否か判断する事が必要とされます。

ポイント
上記のような兼務役員が労働者に該当するようであれば当然に労働基準法がすべて適用されますが、注意していただきたいのは、労働時間、休憩及び休日に関する適用が除外される者のなかに、管理監督の地位にあるものとあります。 通常、役員は管理監督の地位にあることが多いと思いますので、時間外労働、休憩、休日の適用は除外になるケースが多いようです。 例えば、管理監督の立場にあるものが時間外労働(深夜業は除く)をしても割増賃金の支払いの必要がないという事です。

1-4.賃金と考えるもの、賃金として考えないもの

先日、従業員は平均賃金計算の額が違うのではないかと指摘を受けました。正確な平均賃金の計算をしたいのですが計算式に算入するもの、しないものの区別の仕方を教えてください。

賃金とされるのか、否かによって平均賃金の算定(労災が起きた場合の休業補償等の額が変わってきます)、に算入する必要がある、なしに関わってくることや、賃金支払いの5原則に関わってくることになりますので正確に理解しておかないと、後々に労使トラブルになりかねません。

賃金とは、労働の対償として使用者が労働者に支払うものを言います。

例をあげますと以下にあげるものは労働の対償ではないので、賃金とはなりませんので平均賃金計算の基礎、割増賃金の計算の基礎、賃金支払いの5原則には該当しません。

①任意恩恵的なもの・・・退職金、結婚祝金、病気祝金、死亡弔慰金、災害見舞金など。
※ただし恩恵的なものであっても、労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確にされていて、それに従い使用者に支払い義務が生ずるものは賃金とされます。
②福利厚生的なもの・・・住宅の貸与、食事の供与、資金貸付など。
※住宅貸与の場合においては、貸与を受けないものに対し一定額の均衡手当が支給される場合賃金となります。
③企業設備、業務費用なもの・・制服、作業服、作業用品代、出張旅費など。

ポイント1
平均賃金の算定基礎から除外される期間と賃金
①業務上負傷し、又は傷病にかかり療養のために休業した期間
②産前産後の女性が法65条の規定によって休業した期間
③使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
④育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間
⑤試みの試用期間
ポイント2
平均賃金の算定基礎から除外される賃金
①臨時に支払われた賃金
②3ヶ月を越える期間ごとに支払われる賃金
③通貨以外のもので支払われた賃金で法令又は労働協約の定めに基づかないもの(通勤定期券ではありません)は除外します。
ポイント3
割増賃金の計算の基礎に含めない賃金
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた賃金
⑦1箇月を超えるごとに支払われた賃金

1-5.通勤定期券の支給と平均賃金の算定

通勤定期券の支給について定期券を購入の上、支給しているのですが何か問題が生じてくるのでしょうか?

はじめに通勤手当を会社側は法律上支払い義務が生じていませんので、通勤手当を労働者に払っても払わなくてもかまわないのです。

つまり労働者の通勤費は労働者が負担するのでも構わないのです。しかし会社が交通費を労働者個人の負担となるのはかわいそうだ!という事で、通勤手当を支給することになった場合は賃金となり、就業規則又は社内規定に記載しなくてはなりません。

賃金となるものは前項で説明した通りで、労働の対償として使用者が労働者に支払うものを言いますが、通勤手当も賃金に該当するのです。

この会社は通勤手当を定期券に変えて現物給付していますが、賃金に該当するということは、賃金支払いの5原則(労働基準法第24条)が適用されますので、その5原則のうちの1つの通貨払いにふれますので通勤手当とし原則通貨払いにしないといけません(労働組合と使用者との間に交わされえる労働協約に定めがある場合はOK)。

ポイント
ここでは定期券(現物給付)で支給されていますが、通勤手当の代わりに支給されているものですので平均賃金の算定には含まれます。以上のように通勤定期券を通勤手当の代わりに支給されている会社は注意してください。

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