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7-1.パートタイマー等の休暇日数

パートタイマーの場合の年次有給休暇日数は、労基法ではどうなっているのですか。

労基法による年次有給休暇日数の特例(具体的な日数は次表参照。)は、所定労働日数が通常の労働者に比較して相当程度に少ない者(週四日以下の者等)であって、かつ、所定労働時間も短い者について定められたものです。

具体的には、週の所定勤務日数が五日以下(または年間所定勤務日数が二一六日以下)の者で、かつ、週所定勤務時間が三〇時間未満の者がこれに該当します(所定勤務時間数がこれを超える者は、通常の労働者と同じ年次有給休暇の制度が適用されます)。

パートタイマーと呼ばれる労働者の中には、一日の時間は短いが労働日数はあまり変わらない人もいますが、この場合は当然通常の労働者と同じ年次有給休暇の制度が適用されます。

さらに、所定労働日数が週四日等前述の特例に該当する場合でも、週の所定労働時間数が三〇時間以上である場合は、やはり特例扱いはできず通常の労働者と同じ扱いとなります。

7-2.定年後再雇用者の年休はどうなるか

当社では定年を六〇歳としていますが、六五歳までの雇用の機会を再雇用制度によって設けようと思います。その場合、各種処遇条件の変更を伴うことになりますが、年次有給休暇については法的にはどう解釈されるのでしょうか。

労基法の年次有給休暇に関する規定の適用においては、継続勤務の要件があり、設問のような場合に、これを継続勤務とみるか否かで年次有給休暇の権利の有無に大きな差異が生じます。

継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。
継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、次に掲げるような場合を含むこと(この場合、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する)。

イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規定に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む)。ただし、退職と再採用との間に相当期間が存在し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りでない。
ロ 法第二一条各号に該当するものでも、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
ハ 臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、一年以上に及んでいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
ニ 在籍型の出向をした場合
ホ 休職とされていたものが復職した場合
へ 臨時工、パート等を正規職員に切り替えた場合
ト 会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合
チ 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実態は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続している場合

ポイント
設問の事例は上の通達のイに該当すると考えられるますので、定年により一度退職し相当期間経過したあとに再雇用されたといった特殊な場合を除けば、年次有給休暇についてはこれを継続勤務しているものとして取り扱うことが必要と考えられます。

7-3.退職の際、未消化の年休について

退職を申し出た従業員が、退職までの間に残っている年次有給休暇をすべて利用したいと希望し、忙しい時期でもあり、その取り扱いに困ったことがありました。このような場合、すべて希望を認めなければならないのでしょうか。

労働者には年次有給休暇利用の権利があり、他方事業の正常な運営を防げるおそれがあることにより使用者には時季変更権があり、しかも通常の場合と異なり退職が予定されているということで、どのようにこれを調和的に解決するか難しい問題があります。

設問のような事例に直接答えた行政解釈はありませんが、退職ではなく解雇を予定している場合についての解釈として、「当該労働者の解雇予定日をこえての時季変更は行えないものと解する」という通達があります。これは、時季変更権は文字どおり年次休暇の利用期間を変更させることができる権利であり、これを利用させないこととする権利ではないという考えに立つもので、解雇を予定している者については解雇予定日を超える変更を認めるということは休暇の利用を拒絶する効果を時季変更権に認めることになるから、そのような変更はできないと解釈したものと考えられます。退職の場合も退職してしまえば、その後は年次休暇の権利を行使する余地がないという意味では解雇の場合と同様です。

しかし、解雇とちがい退職の場合は休暇の時期を指定できる労働者本人がその次期も決定できるわけですから、解雇の場合とは違う事情もあります。退職予定日以降への時季変更が認められるとはいい難いのですが、通常の場合であれば時季変更の認められるような休暇の指定であればそのような時季変更権の行使を不可能とするような形での時季指定は権利の濫用として無効と考えられる場合もあるでしょう。

どの程度の期間が退職までの間にあり、どれほどの繁忙であったか。
一般論としては、使用者は休暇が法の認める権利であることに留意し、できる限りその利用に便宜を図るべきですし、一方業務の引継ぎ等、退職者としてなすべき最低限の行為に必要な勤務は退職者の義務であり、休暇を利用することによりこれができない場合には、退職者としては退職の日付を遅らせるか休日の日数を削る等の配慮をするのが筋であると思われます。実務的な処理としては、仮に退職の日付が変更できないのであれば、労使合意により現実に利用できなかった日数分の休暇を買い上げるということも考えられるでしょう。

なお、この種の問題は平素年次休暇の利用が適正に行えるような状況にあったのか否かといったこともこうした形での権利行使の適否の評価に影響するものと考えられますので、慎重な対応が特に求められます。

7-4.解雇の場合の未利用年休について

勤務状況のよくない従業員を解雇予告除外認定を得て即時解雇した所、本人から未消化年休の買上げの要求がありました。応じなければなりませんか?

年次有給休暇請求権は雇用契約上の権利であるから解雇によって一応消滅するとも考えうるが、雇用契約上の権利としては未払いの賃金に対する請求権と何等差異なく権利は消滅するものではないから予告期間中に有給休暇を与えるべき至当とかんがえるが如何。又即時解雇の場合は有給休暇の付与を会社側の都合により延期している場合にはその休暇日数に応じ平均賃金を支払った上解雇手当を支払うことが妥当と認めるのが如何。

年次有給休暇の権利は予告期間中に行使しなければ消滅する。
年次有給休暇の権利は予告期間中に行使しなければ消滅するとしています。これは、解雇・退職の理由の如何を問わず、年次休暇の権利は雇用関係の存続期間中に労働者が時季指定しなければ具体的な効果を生じないことを示しています。

即時解雇が有効になされて雇用関係が終了した後になって、その権利が存在することを前提にあるいはその権利が事実上行使できなかったことに対し、買上げという形での補償を求めているものであるとすれば、そのような要求に応じる義務は雇用契約上の特別の定めや合意がない限り、使用者にはありません。

7-5.年休の出勤率算定に当たって出勤とみなす日は

労基法の年休の制度では出勤率が休暇付与の条件とされていますが、法律の条文に書いていないものでも出勤したものとして取り扱わなければならない日があるとか、出勤率算定の対象から除く必要がある日があるとかいわれていますが、どういう根拠でどこに定められているのでしょうか。

まず、労基法の第三九条自体でその取り扱いが明確に定められているものとしては次のようなものがあり、これらは出勤率計算上、これを出勤したものとして取り扱わなければなりません。
(1) 業務上の傷病により療養のために欠勤した期間
通勤災害による欠勤期間については労使間の定めに委ねられます。
(2) 労基法による産前産後の休業期間
労基法を上回る休業期間については労使間の定めに委ねられています。
(3) 育児・介護休業法による育児休業期間、介護休業期間
育児・介護休業法を上回る期間については労使間の定めに委ねられています。
(4) 労基法による年次有給休暇を利用して休んだ期間

このほかの欠務については、次のような場合に、これを出勤率算定の分母分子の双方から除外して計算する取り扱いがなされています。

1 使用者の責めに帰すべき休業
(これは使用者が就労を拒否しているのであるから事実上労働の義務が免除されていると考えられるため、全労働日から除外します。)
2 労使双方の責めに帰すべからざるいわゆる不可抗力による休業
3 正当なストライキそのほか正当な争議行為により労務の提供がなされなかった日
(これも労働者の権利行使の期間であり、勤怠評価の対象たるべき期間と考えるのは妥当ではないとして全労働日から除外されます。)

これらに対して、就業規則等での定められた慶弔休暇等や、生理休業の期間については労使間の定めに委ねられています。

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