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10-1.流産・早産と産前産後休業

産前休業に入った者が流産したため、産前休業期間の残りを産後休業期間として利用したいと申し出てきました。そのような要求も当然に認めなければならないのでしょうか?

産前産後休業の対象となる出産とは、妊娠4ヵ月以上(1ヵ月は28日として計算するので、4ヵ月以上とは85日以上ということになります)の分娩であり、生産のみならず死産をも含みます。流産(妊娠23週=6ヵ末月までに妊娠が中断した場合をいいます)には、人工流産と自然流産がありますが、いずれも妊娠4ヵ月以上の場合であれば出産に該当し、産後休業の対象となります。

早産は分娩予定日前の出産であり、産後休業の対象となります。いずれの場合も自然の出産予定日前の出産等ですが、これにより産前休業期間は終了し、妊娠4ヵ月以上での分娩であれば翌日から産後休業期間が開始することになります。出産が当初の予定日より早まった場合の産前産後休業期間の調整等については、労基法は何も定めていませんので、法的には設問の請求に応じる義務はなく、実際の出産日の翌日から8週間の産後休業を与えればよいことになります。それ以上の取扱いを認めるか否かはすべて労使間の合意に委ねられます。

10-2.産前産後の休業期間中の年休利用

産前産後休業に入る予定の女性から、年次休暇を消化した上で産休を利用したいという申出がありましたが、認めなければならないでしょうか。

産前休業については、これをとらず年次有給休暇を利用することが可能です(もちろん、これを認めることにより事業の正常な運営が阻害されるおそれがある場合は、時季変更権を行使することが可能です)。これに対し、産後休業の期間については年次有給休暇の利用はできないと解されているのです。

こうした区別は、産前の休業はこれを利用するか否かの判断が労働者本人に委ねられている(請求した場合のみ産前休暇は与えられる)のに対し、産後の休業は本人の希望の如何や請求の有無といったこととは無関係に、産後8週間を経過していない限りその間は就業させることができないという違いによるものです。したがって、産前期間については労働者が産前休業を請求せず年次有給休暇の権利を行使することも可能であり、使用者は産前6週間以内であることを理由にこれを拒否するということはできず、前述の時季変更権を行使できる場合に限り年次有給休暇の申出を拒むことができます。これに対し、産後休業期間については年次有給休暇を利用する前提となる就労の義務がその間はないことになりますから、重ねて年次有給休暇を利用する余地はないということです。

もっとも、産後休業期間については、6週間を経過すればそれ以後は本人が希望し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができますから、こうした申出に基づき就業している場合には、年次有給休暇の利用も考えられないわけではありません。

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